嫉妬

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それから、汗をだらだらと滝のように流すこと数分。学校へと戻ってきた。もしかしたら、ユキが校門前で待ってくれているかも、とか希望的観測をしたが、いなかった。まあ、そりゃそうか。 僕も口座に参加しようかと思ったが、今から行っては絶対に目立つ。それは避けたいことなので、いつもの空き教室に行くことにした。 そこはユキとユウの二人だけの空間。誰にも邪魔されず、誰かが入ってくることもない。中学棟の角、元は吹奏楽部が使用していた場所である。 鍵はかけられていないので、いちいち職員室に態々訪れる必要もない。 だが、いつものように、いつもの如く中に入ると、見知らぬ男子が一人本を読んで座っていた。 鼻はツンと高く、眼鏡を掛けている。そして、髪の毛は茶色い。この学校は頭髪にうるさいので、たぶん彼の地毛なのだろう。 綺麗に整った眉を僅かに釣り上げて、彼はこちらを一瞥してくる。
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