嫉妬

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「ただの同じ穴のムジナってところかな」 結局、はっきりとしない曖昧な解答をする。 その答えにイケメン君は顔色一つ変えることなく、そうか、と言葉を漏らしてこの部屋を去ろうとする。 「ちょっと、待ってください。すこしだけ……すこしだけでいいので、ユイの事について聞きたいことがあります」 思わず呼び止めていた。日頃の僕なら相手を不愉快にさせないように、言葉を選んで、何よりできるだけ人と話さないようにしているのに、どうもユキが絡んでいると突発的な発言をしてしまう。 部屋を出ようとしていたイケメン君は、クルリと体を反転させると僕と視線が重なる。互いに相手の心を読み合うような無言が続いた後、先に口火を切ったのは彼だった。
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