嫉妬

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けど、なんにしても、 「良かった。獅子君が敵じゃなくて」 「敵? ああ、あの低能のバカザル女共の事か」 「知っているの? ……その、ユキが苛められていること」 本から全く目を離そうとしないが、彼が目を細めて見下すような視線に変わったのが髪の毛の隙間から見て取れた。 「知っているも何も、彼女は、クラスメイトの女子全員から苛められている。嫌でも目に付くさ」 「男子からは? というか、同じクラス名の?」 「ああ、同じクラスだよ。一部の男子からは、ちやほやされているな」 一部。なら、残りの男子はユキの事を苛めてるのか。 どうやら、僕が考えていた以上にユキの状況は危ういようだ。自分のことのように胸が痛いのは、実際にあの筆箱をみたせいだろうか。それとも、彼女が好きだからだろうか。どっちもだろうなあ。
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