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「聞きたいことはそれだけかい?」
暫し口を閉ざしていた僕にしびれを切らしたのか、獅子君が訊きたいことがあるなら早くするようにと催促してくる。
「最後に一つだけ。雪を助けることってできないのかな?」
「それは、同じ穴のムジナとして? それとも――」
「どっちもだよ」
彼が言い切る前に、先に言い切った。その反応が余りにも滑稽に見えたのか、獅子君はそうかと口端を少しばかり吊り上げる。
「その心意気には感服するが、まあ無理だろうね。確かに、ヒエラルキーで言えば彼女は間違いなく上位に位置するだろう。だが、それはあくまでも多数の下位者が存在することによって成り立っている。だから集団で攻撃されたら一溜りもない。言ってしまえば、彼女は現在下剋上に合っているのさ」
獅子君は平坦な口調で、ユキの状況がさも当たり前のように告げる。
そして、出る杭は打たれるものだよ、と言葉を付け足した。
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