嫉妬

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何か意味のある名前なのか? と悠長に推理する暇などなく、外へ出る支度をする。TV、電気ちゃんと切ったな。ドアのかぎもしっかり締めてと、これで行けるな。 家の鍵もしっかりと施錠すると、ガレージに置いてある自転車に脱兎のごとく飛び乗る。 これはかなり怒っているだろうな。というか、よくよく考えたらこんな時間まで僕なんか待ってないか。けど、念のために。 自転車を行きしよりも倍のスピードで走らせる。 夏の夜は涼しいかと思いきや、普通に暑い。お風呂に入ったばかりで、体の熱と外部の熱が同時に襲い掛かってくる。その為、当然の如く汗も噴き出す。 明日、風邪ひかないだろうな。ユキと仲直りしなくちゃならないのに。 空には真ん丸な月がポツリと一人取り残されたように浮かんでいる。その光が強い所為で、周りには塩をまぶしたように散らばった星が目を凝らすことでやっと見てとれる。
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