84人が本棚に入れています
本棚に追加
なんとそこには、逆三角の白い布を頭に身に着けた幽霊などおらず、生きた見目麗しい女性が目を手で押さえていた。
明らかにその人は、有名アイドルの『和束伊根』である。
昼間はニット帽で顔がはっきりとは分からなかったが、今は外されてほりの深い顔が露になっている。不覚にもTVで見た時よりも美人だと感じてしまった。
「……や、やぁ。いい子にしていた? 元気にしていた?」
どう声を掛けたものかと、困ってしまった結果これである。日常でコミュニケーション能力を試されるような場面なんてあまりないからなあ。
「……えて……うっ……やる」
こちらの質問をオール無視で、和束は一人ぶつぶつと呪文のように何かを唱えている。
最初のコメントを投稿しよう!