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「もうちょっと、おっきい声出さないと聞こえないよ」
「……えてやる。訴えてやる!」
彼女の心からの叫びが廃工場の中を乱反射する。……マジですかいな。一般の学生ならここで、殺してやるとか冗談まがいなことをかますのに、訴えてやるとか。さすが、芸能界を渡っている人は、言うことが違うわ。ちょっと、関心。
「あんた! 絶っ――――――対に訴えてやるんだから! ひっく。ふぐぅ」
余程怖かったのか、真っ赤に腫れた眼を釣り上げてこちらに指を突き付けてくる。確かにこんな場所にずっとほっとかれていたら泣きなくもなるよな。
「ごめん。別に行為でほっといた訳じゃないんだ。心の底からすっかり忘れていて」
嫌、それでも悪いんだけど。自分で自分にツッコミを入れる。
「怖かったんだから! ひっ。怖かったよぉ。ふっく」
だんだんと虚勢を張るのにも疲れてきたのか、本気で泣き出す。今にもこちらに駈け出して抱き着いて来そうな勢いだ。
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