嫉妬

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そして、重ねて話す。 「僕も何回か学校に行きたくないと思った時が何度かあるんだ。けど、その度に大切な人が待っているって思うと自然とね、なんかこう、学校に向かっちゃうんだよ。操られたマリオネットみたいに」 自分で熱弁を振るいつつも、中学校から今までの事がフラッシュバックする。僕が学校に行きたくないと思い始めたのは確か中学二年からだ。高校ではユキがいた。そして、中学校でも大切な人がやっぱりいた。 このつたない言葉が彼女に伝わるとは到底思えない。それでも十分の一でも僕の気持ちを汲み取ってくれたら嬉しい、とは考える。 「だから何なのよ。勝手にあんたの物差しであたしを計らないで。自分の限界は自分が一番分かっているの。中学二年に何の気なしに受けたオーディションに受かって、そのままこの業界に来た。もちろん、合格した当時はとっても喜んだわ。 けどね、働き出してから気づいたのよ。学校にもろくに行けず、友達に敬愛され疎遠になっていく日々。勉学もおろそかになっていき、挙句の果てに、四年たった今では仕事は昔の四倍以上。睡眠時間もゆっくりと取れないの! それだけじゃないわ。どこを歩くにも変装が必要で、スキャンダルに毎日追われるのよ! それでも頑張れって言えるの?」
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