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返信ボタンを押して、本文の一文字目で詰まってしまう。
……なんて返せばいいかわからん。今までユキとしかメールのやり取りしてこなかったからなあ。
仕方がないので思いついたことを適当に羅列させておこうか。
何度も自分が書いた文を読み直して返信ボタンを押す。
これでよし。では、こちらも負けずに頑張りますか。返信文を考えている間に、今日も変わり映えのない教室に着いた。
扉を開けるとそこには絵に描いたような女性が椅子に座って読書をしていた。その光景に一瞬僕の時が止まる。窓から差し込む陽光が更に彼女の美しさを際立たせている。
「随分と遅かったわね。この暑さだもの、仕方ないのかしら」
本から顔を上げると、皮肉を込めた言葉がユキの口から放たれる。僕は、口端を引きつかせながらも、ごめんと謝罪を入れる。
その後の彼女の言葉を待ったが何も言ってこないので、ユキの隣に置かれている椅子に腰かける。
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