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そんなこと聞かなくていいんだ。僕がユキを嫌いになるなんて天変地異が起こってもあり得ない。むしろ、それを不安に思っているのはこちらだというのに。
「大好きだよ。当然だ」
「私も――大好きだ」
顔を僕の胸元に擦りつけながら、恥ずかしそうに告げた。
初めてだ。ユキに好きだと言われたの。胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。これがきっと幸せってことなんだろうな。
「もう一つだけ聞いていいか」
泣きはらしたユキは、僕の腕と胸の間からこちらを見上げる。目元が赤くなっている。
「私が一番か?」
一番。彼女にとってその言葉には無数の意味が込められているのだろうか。それともただ一つの意味なのだろうか。
恋愛経験の乏しい僕にはわからないことだ。だけど、一つだけ言えるとしたら、
「僕にとって何時何時もユキが一番だよ」
これだけの事だ。僕がユキにもらったものは山ほどある。だけど、こちらが上げる物など数えるほどしかない。
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