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「おーい。席に着けよ」
野太い先生の声音で、本に送っていた視線を前へとやる。
本の没頭していた為に気付かなかったが、教室の掛け時計では既にショートホームルームの時間である。
ということは、ベルは鳴り終わったのか。全く知らなかった。
本を机の中に入れて、四十路まっただ中の先生を見る。皆は、中川先生と呼んでいる。陰では、鬼川先生と呼ばれている。
鬼川先生、元い中川先生は、うちのクラスの担任であり、体育教師である。更には、柔道部の顧問も勤めている。
だから、この異名も納得と言えば納得であった。
しかし今日の中川先生は、リアルに鬼のような顔をしていた。
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