1.ふたり

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「お前らのテスト結果を全て見させてもらった」  低く、獣のような重音で中川先生が話し始める。  この一言でクラス全体が何を言いたいのか予想ができた。 「何だ! あの結果は!」  教卓を強く叩き、怒りを表す。顔は赤鬼みたいに真っ赤だ。 「部活をやってたとしても、あの結果は言い訳にはならんぞ!」  確かに、今回のテストは手応えが余り感じられなかった。僕だけかと思っていたら、皆もだったのか。 「うちのクラスで、今回のテストが良かったのは、黒岸(クロキシ)くらいだぞ」  その名前を聞いて、皆が当然だなという空気になる。僕もその内の一人だ。
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