1.ふたり

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 名前が次々と呼ばれていく。その中に、部活に入っている生徒の名前がないのは、中川先生の優しさと受け取れる。  夏休みが部活動の本番となる。だから、当たり前と言われたらそこまでである。  それよりも、困ったことに中川先生の口から僕の名前が出てしまったことだ。  これでは、彼女に会いにいくのが毎日遅れてしまう。むしろ、それを知ったら夏休みまでいつもの場所に来ないかもしれない。  僕としては、それは避けたいことだった。唯一の僕が学校に来る楽しみがなくなってしまう。  だけど、先生の顔色を伺うあたり、そんな事を言えば間違いなく拳骨を頂くだろう。
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