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けど、本当に現在重要なことは、彼女にこの事をどう打ち明けたらよいかである。
言ったらきっと、彼女は夏休みまでさよならと一言返事で終わるに違いない。僕もそれで、うん。さようなら、と返せればベストだが、それでは困るのだ。
なら、どうすれば良いかなのだが、その答えをどうしても見出だせない。
その熟考に立ちはだかるようにして、勢い良く教室の戸がスライドする。
入ってくる人物は、やはり担任の中川先生である。
「ホームルームを始めるから早く座れよ」
不機嫌なのが声色から分かる。よっぽど自分の持つクラスの平均点が下がったのが、精神的ダメージになっているのだろう。
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