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至極当然のことだが、彼女の本名はユキなどではない。彼女がそう呼んでくれと主張するので、僕はそれを尊重したまでだ。
「それなら早く入るぞ。ユウ」
そして、彼女は僕のことをユウと呼ぶ。けっして、あなたという意味ではない。
僕の名前を聞い上で彼女が勝手にそう呼んでいるのだ。
黙って僕は首肯すると、先に教室に入るユキを追う。
元々空き教室と称していても、広さは普段使う教室の四分の一ほどしかない。
室内には本棚が両脇に二つずつ置いてあり、どれも満帆に本が敷き詰めてある。その間には、僕とユキが持ってきた椅子を置いている。
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