1.ふたり

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 椅子に座ると、鞄に入れている本を取り出して栞を挟んだページを開ける。  気付かれないように、彼女が何をしているのか盗み見ると、棚にさしてある本を一冊一冊手に取り吟味している。  さて、どのタイミングで彼女に朝のことを伝えようかな。正直に僕の気持ちとを一緒に話したら、課題が終わるまで待ってくれそうだけど……、それは何だが悪い気がしてならない。  何より放課後の数分を女子一人ここにいてもらうのは、気が引けてしまう。  加えて、テストの点数が悪くて補習だなんて、恥ずかしくて言えたもんじゃない。
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