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本を読む振りをして、僕が見ている事に気が付いたのか、彼女と視線が重なる。
「どうしたんだ? 今日のお前は何だがおかしいぞ」
「え、あの、実は……」
キュルルルー。
一層、この雰囲気に呑まれて暴露しようと思った矢先に、突然腹の虫が鳴る。
「お、お腹が空いちゃって」
恥ずかしくなって、頭を掻きながらつい嘘をついてしまった。
羞恥心やら、自分の不甲斐なさに泣きそうになる。最悪だ。折角の機会を逃してしまった。
「そうなのか。昼は食べてないのか?」
黙って首を縦に振る。朝寝惚けていた所為か、茶封筒に入っている金を机の上に忘れて来たのだ。今日は本当にとことん尽いてない。
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