1.ふたり

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 同年代以前にクラスメイトとさえ常日話さない僕だから、一般男子高校生が恋愛小説を読んでいるのは、周りから偏見の目で見られる対象となるのだろうか。うーむ。良くわからん。 「じゃあ、私も恋愛小説を読もうか」  どこが『じゃあ』に繋がるのか分からないが、一冊の本を抜き取ると彼女も椅子に腰を下ろした。 「…………」 「…………」  お互いに沈黙が続いているこの光景こそが、いつもの放課後に見る二人の姿である。  そうして、今日も終えたいところなのだが、本日はそういう訳にはいかない。
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