1.ふたり

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 ここからが問題だ。口を滑らせ、補習だということが張れてしまえば、ユキに見捨てられるかもしれない。  僕にとっては、それだけはどうにかしてでも避けたい。だから、慎重に言葉を選ばなければならない。 「今回のテストが悪かったから、猛勉強するんだ」 「それなら。ここですればいいじゃないか」  最もである。彼女が正しい。ではなくて、どうにかして得心してもらわないと。 「ここでは集中できないから、家で……」 「だったら、私もついてくぞ」 「嬉しい申し出だけど、一人じゃないと勉強できないタイプなんだ」  以外に諦めが悪いな。これくらい普段の放課後も突っ掛かってくれたら、話しも弾んでもっと楽しいのに。
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