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長く艶やかな彼女の髪が、一語発する毎に軽く揺れている。
「……ユキこそどうして?」
驚きのあまり出てこなかった声が、やっと口から現れる。
「ユウを待ってたからに決まってるだろう。で、ユウは?」
「僕は……」
言葉に詰まる。補習だと言ったら幻滅されないだろうか。そんな不安が体中を包む。
それでも言わないと。これ以上彼女に変な勘違いはさせたくない。
「補習を受けてた。テストの点が良くなかったから」
しっかりと彼女の透き通るような綺麗な目を見詰めて言い切った。
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