2.以心伝心

10/31
前へ
/148ページ
次へ
 腰に手を当てて、彼女の顔に少し赤みを帯びる。 「私がその程度でユウを嫌になる訳ないだろ。補習ごときでユウを見捨てるような関係だったら、最初から一緒にリア充しようなんて言わない。だから……」 「だから?」  その続きが知りたくて、オウム返しする。  下を向いてしまった彼女は、腰に据えていた手を下ろし、拳を作る。肩は僅かに震えていて、長い髪が彼女の表情を読めなくする。 「だから……だから、もう嘘をつくのは止めてくれ」  声が小さくて聞き取りにくかった筈なのに、僕の耳にすっと入ってきた。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加