2.以心伝心

11/31
前へ
/148ページ
次へ
 だけど、その懇願するユキとは裏腹に、それに即答できない僕がいた。  彼女の気持ちは、痛いほどに解る。もし、その立場に僕がいたら僕も同じ事をきっと言うと思うから。  だからこそである。彼女の為になるなら、僕は幾らでも嘘を付く。  言い渋っている僕を見て、ユキが言葉を重ねる。 「約束してくれないのか? ユウとこれからも一緒にいる為にも、私は嘘をついて欲しくないんだ」  泣きそう顔で服の袖を掴んでくるユキを見下ろして、僕は思った。  どうしてユキは、僕の為にこんなに必死になってくれるんだろう?
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加