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だけど、その懇願するユキとは裏腹に、それに即答できない僕がいた。
彼女の気持ちは、痛いほどに解る。もし、その立場に僕がいたら僕も同じ事をきっと言うと思うから。
だからこそである。彼女の為になるなら、僕は幾らでも嘘を付く。
言い渋っている僕を見て、ユキが言葉を重ねる。
「約束してくれないのか? ユウとこれからも一緒にいる為にも、私は嘘をついて欲しくないんだ」
泣きそう顔で服の袖を掴んでくるユキを見下ろして、僕は思った。
どうしてユキは、僕の為にこんなに必死になってくれるんだろう?
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