リア充にあこがれて

２.以心伝心

「だから、……」

　目線を上げて、再度何か言おうとしたユキの口が、開いたまま固まる。どうしたんだろう？　と心配になった僕も直ぐに原因に気づいた。

「……雨」

　手の平を上にして彼女が確認するように呟いた。

「本当だ」

　傘持って来てて良かった。

　柄の部分を手で握ると、支柱部分についているボタンを押して傘を開く。

「いやぁ、傘もっ……て……」

　横見して、不自然な場所で言葉を区切る。何故ならそこに、直接水滴を浴びているユキの姿があったからだ。