2.以心伝心

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 風邪を引いてしまったのか。それはまずい。  その刹那、内臓全てが口から出そうになる。  彼女に、大丈夫かと声を掛けようとした時、僕のブレザーを掴んで自分の胸元にまで引っ張ったのだ。 「これで……お互いに濡れないな」  逃げられては困ると彼女はブレザーから手を放そうとはしなかった。 「そう……だね」  一歩踏み出す度に、彼女の胸の感触がして卒倒しそうになる。 「良かったら、家まで送ってくれないか? そうすれば、序でに課題プリントも見てやるぞ」  確かに……。けど、それってユキの家に入るってことだよね。
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