2.以心伝心

20/31
前へ
/148ページ
次へ
 今まで僕は、彼女の家に行ったことがない。見たことすらもない。  それに何より現在の状態で、ユキの家に行くのは面映ゆい。 「どうした? 急に顔を赤くして」  彼女が僕を見上げて、更に柔らかい感触が二の腕に広がる。  横に逃げそうになるが、彼女がそれを許してくれない。ガッチリとホールドされている。 「大丈夫だよ。けど、ちょっと……」 「ちょっと……?」  投げ遣りな視線を、僕と彼女を隔てている傘の取っ手部分に送る。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加