2.以心伝心

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 その応答に、何故か執事の固まった表情が溶かされていく。 「ああ。その方がいつもお嬢様が仰られいるユウ様ですか。仲直りが出来て良かったですね」 「何いってるの!? 犬養!」 「いえ、先週から元気がなかったので喧嘩でもされたのかと思いまして」  楽しそうに話してるなぁ。蚊帳の外になった僕は、興奮しているユキと冷静沈着な執事の会話に耳を傾けていた。 「違う。喧嘩なんかしてない」 「左様でございますか。それでは、先週から昨日に掛けて、どうして悲痛な表情をしておられたのですか?」  それにも速答するのかと思いきや、ユキが言葉に詰まる。
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