3.天才だからだ……

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3.天才だからだ……

 あれぇ~。おかしいな。この小説は、60ページで終わらす筈だったのに。  計算ミスりました僕こと嵐山光です(笑)  いや、どこも笑えないけど。  それにしても終わらない。いったいこの小説のゴールはどこなんだ。  教えて!  ということで、いい加減書くこと無くなってきたので以下短篇。 『いつぞの六月~放課後~』 「これはどうしたんだ?」  ユキが、僕の持ってきた二つの椅子を指差す。 「貰ってきたんだ。放課後に座って本を読めるようにさ。いつも床じゃ嫌でしょ」  この教室には多分な本があるのにも関わらず、腰を下ろす場所がなかった。  吹奏楽部が新しい場所に移る時に、すべて持って行ってしまったのだ。 「ほぅ。誰からだ?」  僕の返答が気に入らなかったのか、彼女の視線が急に鋭くなる。  普通は『誰から』と聞く前に『どこから』と質問するのが妥当ではないか? と疑問に思ったが口に出すつもりはない。 「勿論、先生からだけど……」 「そうか、ならいい」  安堵の息を漏らして、胸を撫で下ろす彼女を横目に見つつ『ならいい』ならいいかと、先程の疑問点を脳内から振り払う。  そして今日も彼女と僕の間には、紙が擦れる音がする。
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