3.天才だからだ……

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 こんな気持ちに露程にも知らず、頭に疑問符を彼女は浮かべる。 「これくらい近づかなければ、教えにくいではないか。それとも私が嫌か」  卑怯だ思う。僕が彼女を嫌う理由など微塵もない。仮に彼女が嫌いなら、相合傘をする筈がない。  むしろ、僕は彼女が好きだ。ずっとこの時間が続けば良いのに、と願うほど。 「ううん。嫌じゃない」  だから、この心境を伝える為に声を出そうと思う。少しでも分かってもらう為に声に出を出そうと思う。 「やっぱり、このままがいいや」  触れれば崩れてしまいそうな笑顔を添えて。
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