3.天才だからだ……

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 その言葉を静聴していた彼女は、僕に向けていた目をプリントに向け直した。 「だったら。私の話を確りと聞いて、早くプリントを終わらせるぞ」 「おう」  顔つきを捕らえることは出来なかったが、さっきよりも弾んだ声音だった。  それにしても、教えるのが上手い。将来は教師かな。それはないか。この家からして。 ◆◇◆◇  掛け時計に目をやると、既に七時半を過ぎている。それと同時に僕の理解力のなさを痛感する。  彼女は問題文を読んだだけで、どういう系統の問題を理解するのに対して、僕は繰り返し三回読んでも解らない。
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