3.天才だからだ……

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 それでも照れ臭くなってしまい、頬を人差し指で掻いた。 「それなら少し待っといてくれないか? 私もご飯を作るのを手伝ってくる」  体をガバッと起こした彼女は、笑みを浮かべて僕の有無も聞かずに部屋を出ていった。 「僕の話を全然聞かないな。ユキは」  そう言いつつも、破顔一笑してしまう。本当に嬉しい時、感情は表に出てしまうものだ。  待っている間、暇なので補習プリントを眺めていた。  裏に書かれた問題に移ろうとプリントを捲った瞬間、彼女の筆箱に目が止まる。
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