84人が本棚に入れています
本棚に追加
どうして?
彼女は僕から見たら完璧だ。容姿端麗だし、勉強だってできる。
むしろ、ダメな所を指摘する方が難しい。それなのにどうして?
「ユウ」
背後から魂の抜けきったような抑揚のない声が耳朶に触れる。
振り替えると、お盆にご飯を抱えたユキが無表情で立っている。それはいつも放課後に見る顔とは全く別物に感じられた。
スルリと彼女の手から僕が滑り落ち、機織りが出す機械音のようなものが鳴り響く。
それに同調するかのように、彼女もその場に座り込む。
最初のコメントを投稿しよう!