3.天才だからだ……

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 どうして?  彼女は僕から見たら完璧だ。容姿端麗だし、勉強だってできる。  むしろ、ダメな所を指摘する方が難しい。それなのにどうして? 「ユウ」  背後から魂の抜けきったような抑揚のない声が耳朶に触れる。  振り替えると、お盆にご飯を抱えたユキが無表情で立っている。それはいつも放課後に見る顔とは全く別物に感じられた。  スルリと彼女の手から僕が滑り落ち、機織りが出す機械音のようなものが鳴り響く。  それに同調するかのように、彼女もその場に座り込む。
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