1.ふたり

2/32
前へ
/148ページ
次へ
 七時にセットした目覚まし時計が、大音量を立てて僕は無理矢理に体を起こす。  七月に入り、三週間が経過していた。定期テストが終わってからちょうど二日である。 「うぐぅ……」  上半身を大きく伸ばすと、煩いベルを止めた。むしむしした暑さが僕の機嫌を逆撫でする。 「あちぃ」  ダブタブのスウェットのしたに手を入れて扇ぐ。気休めにもならないけど。  はぁ。いつまでもこうしてはいられないな。  自室から出ると、一階へ降りる。リビングに行く前に玄関が目につき、靴を確認した。 「今日も帰ってきた形跡はなしと」  昨日と配置の変わっていない靴を目下した後、リビングに入った。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加