3.天才だからだ……

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 僕が彼女の髪に触れるなんて恐れ多いが、今だけは許して欲しい。  壊れてしまわないように優しい手つきで彼女の髪を撫でる。  そして、口にする。伝えられなかった言葉を。伝えたい言葉を。 「ユキと初めて会ったあの日から、ずっと言えなかったことがあるんだ」  光に反射して輝きを放つ彼女の涙が、僕の足にこぼれ落ちる。  温かいそれは、彼女の気持ちを真摯に訴え掛けてるような錯覚を僕に起こさせる。  彼女はずっと苦しんできた。だから、嘘を付かないで欲しかったのかもしれない。  せめて、僕だけは信頼したかったんだ。
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