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胸が熱くなり、それが形となって外へ排出される。
「ユギ。ありがどう……」
頬を伝って、畳みに落涙する。涙ぐんだ所為で、無駄な所に濁音が付いてしまう。
「どうして、ユウが泣いてるの?」
そう聞いて、繊細な彼女の指が僕の片頬に触れ、目頭を拭ってくれる。
しかし、その問いには答えず、話し続ける。
「いつも学校で一人だった。クラスの中に溶け込めなくて、浮いた存在になってた。家に帰っても誰もいなくて、僕の居場所はどこなんだろうって、ずっと考えてた」
溢れ出るこの想いをそのまま口に出す。彼女の反応も伺わずに。
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