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これが僕の全てで、これが僕が彼女に対するありったけの思いである。
「もう一回……」
「ん?」
腕の力を緩めて、彼女の顔が見えるように距離をとる。彼女は、僕の顔を覗き込みまた繰り返す。
「もう一回、『好き』って言ってくれ」
次は、聞き取ることが出来たので、その要望に答えようとして止める。
「明日、昼休みにあのベンチに来て欲しい」
この台詞は、あのベンチでこそ相応しい。
「分かった……」
すっきりしないユキの顔に、僕は苦笑する。
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