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その言葉に彼女は驚くことなく口角を吊り上げて、幸せそうな顔をする。
「まったく、遅いぞ」
「ごめん、ごめん。まさか四時間目があんなに長引くこと……」
「そっちではない」
僕の言い訳を彼女が制す。
「その言葉を言うのがだ」
只でさえアスファルトから昇る水蒸気で蒸し暑いのに、彼女の言葉で更に体の芯が熱くなる。
だけど、彼女といられるならこの暑さが何年続こうが苦じゃないだろう。
「それと、私の名前はユキではない」
「僕もユウじゃないよ」
彼女は僕に告白の返事を返そうとはしなかった。僕も別に待ってなかった。
だって、初めに告白してきたのはユキだったから。
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