嫉妬

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ただの僕の思い込みなら、超恥ずかしいんだけど。そうじゃないことを信じたい。 それにしても、このうだるような暑さなんとかならないものだろうか。どんどん僕の学校に行こうという気力を吸っていく。お蔭で、さっきから来た道を何度も振り返っている。 「……ん?」 ある一点に思わず目が惹かれる。ニット帽にオシャレ眼鏡、ホットパンツを履いた女性が、下を向いて何かから逃げるようにこちらに走ってくる。 前向かないと危ないと思うよ、と言えればよいのだが、生憎僕にそんなコミュニケーション能力は存在しない。ただただ見ていることしかできない。 十秒ほど眺めていると、あることに気が付く。 あの娘、こっちに走ってきてるじゃん。 だが時すでに遅し。逃げようと前を向いて走り出した途端激突。自慢の自転車が横転する。
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