プロローグ

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若芽を出し始めた木々。ウグイスが、未だ覚束無い鳴き声を上げ枝を揺らす。 湖の渡り鳥は、遠くの国を目指し飛び立って行った。取り残された数羽だけが暢気に魚をつついている。 ツクシは既に地面から頭を出し、小川のオタマジャクシは、喧しい音楽を奏でる音符のように無造作に並んだ。 そんな穏やかなこの場所で 私は、死んだ。
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