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「どうでしょうね。それは皆さんの判断にお任せしますよ」 ある意味では逃げとも捉えられる言葉に、また一つ、土方の眉間の皺が増える。 美夜はそれを横目に小さく溜め息を吐いてから、やれやれ、とわざとらしく肩を竦めてみせた。 「恐いですね、土方さんは。折角の綺麗な顔が台無しですよ?」 「うるせぇ、とっとと質問に答えろ」 半ばキレ気味の土方に、美夜は「わあ、恐い恐い」と小さく笑う。土方の眉間にまたも皺が増えたことは、言うまでもないだろう。 「まぁ……それなりに自信はありますよ、自分の腕には」 (それじゃないと復讐なんて考えないし、ね) 心の中で付け足す美夜。それを言葉に出さないのは、面倒だからか、その復讐とやらに巻き込みたくないからか。 「ほう……、そこまで言うなら、気になるな。近いうちにでも誰かと───そうだな、総司辺りとでも勝負してみたらどうだ?」 ニヤリ。 妖艶とも、薄気味悪いとも捉えられる土方の笑みとともに吐き出されたのは、そんな提案だった。 「なっ───?!」 「ちょ、土方さん、よりにもよって総司って!!」 「そうだぜっ、総司は隊の中でも一、二を争う剣豪だぞ?!」 「女子相手にその仕打ちは酷すぎるだろ!」 「……副長、こればっかりは如何かと」 他者多様の反応。沖田なんかは絶句状態で、目を見開いたまま固まっている。 因みに、上から沖田、藤堂、永倉、原田、斎藤である。 「良いだろ?近藤さん、芹沢さん」 土方は非難の声を気にする素振りもなく、近藤と芹沢へと許可を貰おうと話を振った。 「……ふむ、まぁ良いんじゃないか?刹那……いや、違ったね。美夜くんもやりたそうだからね」 ちらりと近藤は美夜に視線を送る。美夜は近藤に曖昧な笑みを返す他なかった。  
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