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――――…ギィ…ギィ…
音がする。
風の音でも、木がざわめく音でもない。
―――ギィ…ギィ
――――何かが、ぶら下がっている音。
辺りは真っ暗で、電灯も何も無い。
そんな中、長い階段を上る一人の女がいた。
その階段の先には、稲荷神社がある。
垂れた目元は、少し疲労を感じ取れる。肩までの髪の毛は、ボサボサで整えられていない。濡れているように感じるのは、風呂上りだからだろうか。
女は足元を左手に持った懐中電灯で照らし、ただひたすら階段を上った。
――――ギィ…ギィ
聞き慣れない音が彼女の耳に届いて、彼女はハッと顔を上げる。
丁度階段を上り切った時だった。
神社の鳥居にぶら下がった“それ”を見て、気付けば女は驚愕と恐怖に悲鳴を上げていた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
手に持っていた懐中電灯が落ちて、音を立てて粉々に砕け散る……。
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