53人が本棚に入れています
本棚に追加
「実はね……」
「うん」
由奈の息が耳にあたってくすぐったい。その声にはどこか緊張感のようなものも感じられた。
「わたしーーーー」
「うんうん」
日が暮れていく。
教室の影と同化し、闇に吸い込まれていく私たちの影法師。
間延びした時間がやけに長い。
そうして、由奈は言った。
「『ハウス』、使っちゃった」
「…………うん?」
遠くの赤い空で、カラスの群れが狂ったように鳴いていた。
最初のコメントを投稿しよう!