prolog 『保護』

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「水月 鴉君だね?」 「はい、そうです。」 夕方時、僕に話しかけたのは、二人の刑事さんだった。 「事情は知っている。さぁ、こっちの世界に戻る時が来たんだ。」 そういう刑事さん。 その時点で、僕はこの人がどれだけのことを知っているかわかった。 何も、知ってない。 知ったつもりでいるだけだ。 おそらく、『身売りをしている少年がいる』程度の認識でしかない。 そうでなければ、戸籍もない『存在しない』僕をこうして、『保護』しに来るわけがない。 ‥存在しない人間は、保護できないのだから。
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