Ⅰ罪のない戯れ

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少女は一度瞬いて目の前の青年に焦点を合わせて尋ねた。 「記憶……? 私、あなたと会ったことがあるの?」 「――あんた、名前は?」 「セリ」 「歳は?」 「十六才」 「どこにいた?」 「箱庭(ガーデン)」 「……あんた、人造人間(レプリカ)だろ」 「はい、クローン人間の分類に入ります」 セリは全ての質問に素直に答えた。 青年は顔をしかめて机に皿を置く。 「どうやってガーデンを抜け出した?」 「――え? ここはガーデンのどこかでしょう?」 セリは小首をかしげた。 青年はセリを一瞥し、紫煙とともに言葉をはき出す。 「ここはガーデンじゃない」
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