Ⅰ罪のない戯れ

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青年は煙草を灰皿に押しつけて火を消す。 セリは頭の中を整理しようと額に手を当てた。 「私はどうしてここにいるの?」 セリは声に出して自分自身に尋ねた。 「さぁな」 青年は素っ気なく言い、机の横にあるソファに腰掛けた。 「私は……今、どこにいるんです?」 「無法地帯(スラム)」 「どれくらいここにいるんですか?」 「一昨日からだ。あんたは丸二日寝ていたからな」 「え、そんなに?」 セリは驚き、あわてて身を起こした。今、気付いたがベットの上らしい。掛け布団がパサリと落ちる。 「ああ、死んだのかと思った。それと、今、裸で見えるからな」 「え!」  セリは自分の体を見て赤面し、掛け布団を引き上げた。
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