9人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前、死んでるのか?」
不意にそんな声がかかって俺の体はピクリと反応する。
「……生きてるのか」
今度はうっすらと目を開けてみる。だいぶ、ぼやけていてなかなか顔がわからない。
だけど。
男だ。
そう思うと目の前が沸騰したように熱くなる。
「…か、え…せ」
目の前で父が殺された。あんなに逞しくて強かった父が。最後に、「生きろ」と叫んでいた。
それを見て捕まった母は舌を噛み切って死んだ。最後に俺を見て、「ごめん」と口を動かしていた。
俺は泣き始める妹の手を掴んで逃げ出した。
最初のコメントを投稿しよう!