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「スリー、ツー、ワン!
新年明けましておめでとうございまーす」どこかの誰かが叫ぶ声がし、それが新たな年が来たことをしめす。
あ、まあ…当たり前なんだけどね。
「明けましておめでとうございます」
仰々しそうに言う大江山はやはりお金持の坊ちゃんで、あいさつなどはしっかりと叩き込まれていると少し、3日ほど前に聞いた気がする。
「おめでとうございます」
つられてこっちも敬語になる。
「そういえば、いいとこの坊ちゃんなら家で年越ししなくて良かったのか?」
ふと浮かんだ疑問に大江山は苦笑いを浮かべた。
「実は…」
そこで一言言葉を区切り、次の言葉に俺は耳を疑った。
「途中で抜け出してきて、今頃捜索願でも出されていると思う」
…まじで?
「とっとと家に帰りなさい!」
捜索願って…こんなとこ見られたら俺、犯人みたいじゃないかwww
「東条君に迷惑かけたくないからこれで帰るよ」
まるでこれが最後の別れみたいな顔して、離れようとする大江山の腕を咄嗟に掴む。
「待てよ!なんでそんな顔…帰りたくない理由とかあるのか?」
俺は正直ぶっちゃけ言ってしまえば、叔父さんにお金を出してもらっている。だから元は…いや、今もおもいっきりの一般庶民。
タイムセールには敏感だし、安売りしているものに目がない。
まあ…がめついというのだろうか。
だから、大江山の苦労などはちっとも分からないけれど。
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