62人が本棚に入れています
本棚に追加
カタンッーーー。
静寂の中、マイクが壇上に置かれた。
誰一人話そうとしない。
その静寂を打ち破る勇者がここに一人。
「あの、すみません。体育館ってここですか?」
重い扉を開けて疲れたのか、その顔には僅かな疲労感が漂っている。
『誰だ、貴様は。俺の話を遮るとはいい度胸だ。そこでとまっていろ』
置かれたはずのマイクは、いつのまにか壇上の上のいかにも〈俺様〉といった感じの人物に持たれていた。
「は、はいいいい!」
返す彼は、なんとも印象の薄い顔をした、平凡中の平凡な顔をしていた。
「あいつ、勇気あるよな」
「おい、見つかったらやばいだろ」
そんな会話がちらほらあちらこちらで聞こえ始めた瞬間だった。
バンッ!!!
壇上から鈍い音が響いた。
最初のコメントを投稿しよう!