140人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
あるところに、親に放任まがいに育てられた兄妹がいました。
その兄妹は、一卵性の双子で。
容姿は性別の壁を考えても恐ろしいほどによく似ていて。
お互いがお互いに依存しているような、仲のいい兄妹でした。
双子は生まれてから一度も、両親に愛情を注がれることはありませんでした。
与えられたのは身の回りの世話をするヘルパーと、手切れ金。
しかしそれでもその二人が自身を不幸だと思ったことはありません。
なぜなら両親などいなくとも、二人にはお互いが最も大切で、最も愛しく。
互いがいれば、他には何もいらなかったからです。
そんな二人は、お互いを大切に、穏やかな毎日を過ごしていました。
しかしそんな日々にも終わりが訪れます。
終焉の合図は、そう…――。
そのあまりの愛らしさで社交界でも人気の妹が、ある一匹の狼さんに恋をしたことが始まりでした。
最初のコメントを投稿しよう!