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「祐喜、今日からここに住むのよ」
母はどこか寂しげな様子で、笑って言った。
その時の俺は、どうしてそんな顔をしたのか分からなかった。
「ねぇ、父ちゃんは?」
「お父さんはね…もう…いないのよ」
「えっそんな。イヤだよ」
「そんなこと言わないの」
「う、うん……」
俺は幼かったなあ……
新しく住む家(というか部屋)は、今までとは比べものにならないくらい、貧相なものだった。
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