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「誰だ?!」
「うわっ!!」
突然の大声に体が大げさにビクンッと跳ねる。
しまった。
驚きながらも、俺は危機感に襲われた。どうやら住民に気付かれたらしい。
どう言い直しても不法侵入にしか見えない俺。逮捕されるフラグが立っているのは明確だ。
″男子高校生(17)、クリスマスプレゼントを持って、子供の部屋に不法侵入。「サンタになりたかった」口実″
…ダメだ。もう変態だ。
「な、てめえ、どっからはいってきやがった?!」
だけど
「え、窓から…。…え?」
随分言葉の汚いのと、声質が随分焦っているように聞こえたので、俺はなんだかそいつに違和感を覚えた。
「ま、窓って、ここ2階だっつーの!お、お、おま、おまえ、警察か?!」
「警察じゃないけど…」
はっはーん…。なるほど。俺は警察を怖がるこいつの様子で分かってしまった。
つまり、へんた…、不法侵入した泥棒かなんかだ。目的は不明だが、とりあえず悪いことをするためにここにいるらしい。
あ、もしかして鍵って、開いてたんじゃなくて、こいつに開けられてたのかもしれないな。
「くそ!おらぁあ!!」
「うお!?」
なーんてのんびり推測していたら、なんてこった。刃物を取り出した泥棒(仮)はトチ狂ったのか俺に襲いかかり始めたのだ。
「あ」
すんでで避けるが、背中のプレゼントの入ってる白い袋に刃物が当たったらしい。シッ! と布が切れる音が背中から聞こえてきた。
おい、プレゼントに傷が着いたらどうしてくれるんだ!可奈との勝負どころか仕事が台無しになるじゃないか!
「てんめぇ…、よくも!」
背中の袋を置いて、俺は泥棒に面と向き合う。
「や、やんのか?!」
おいおい、大丈夫かよ。膝が震えてるぞこいつ。刃物を持つ手もガッタガタのブッルブルだ。
そういう俺は
「や、やや、やってやらぁッ!」
言葉が震えていた。
…刃物、普通に怖いって。
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